ロンドン在住の土木技師を名乗る詐欺師は、道路を作って、建物を建てて、時々船の修理もする…イギリスでは分業化は進んでいないらしい。それとも日雇い?私が適当に二言三言の返信をしていたら、君はどうしてちゃんと話さないんだ、話したくないのか?それとも話せないのか?と言ってくる。なんだか強気だ。自信にあふれた様子が写真からも伝わってくる。
離婚して息子一人と犬一匹と暮らしているという。これは典型的な詐欺パターン。アメリカから両親が遊びに来たというので、「よくアメリカに行くの?」と何気なくきいたところ、両親は離婚していて、母親はアメリカで再婚してて、会うためにはアメリカに行かなくてはいけないんだというようなことを必死になって説明してくる。「あ、そうなんだ」って返信したら、「わかってくれてありがとう」って、ほっとした様子。時々こちらとしてはどうでもいいことでも、背景などを質問すると彼らにとっては設定の矛盾を疑っているように聞こえるらしい。もちろんそんなこと気にしない詐欺師もいるので断言できるわけではないが、得てして人をだまそうとしている人間は、必要以上に弁解してくる。子どもが嘘をついているときに必死になって弁解するのと同じw
今作ってる橋の材料が足りなくなったから鉄を買い付けに中国に行く、その帰りに日本に寄るといってきた。自ら鉄を買って橋を作るんだ。日雇いのわりに重要な任務を任されているんだねwww しかも途中で材料足りなくなるなんて、Do-it-yourselferですかいって突っ込みたくなったが、先行きを知りたいので黙って見逃すことにした。
しかし、会う前に直接話そうと電話をしてきた彼の発音は、癖のないネイティブの発音。少しでも普通の人?と思える節があると、やはり彼は詐欺師なんかではないかもと、過大に信用したくなる。この気持ちが勝ってしまうと、どんなに不自然でも理由をつけて信じてしまうんだよ。
出発後の彼が、空港や飛行機の中から写真を送ってきた。カウンターと機内の航空会社が違っていても、航空会社にたまたま知り合いがいて、通りがかりに撮っただけなんだなと超好意的に解釈しそうになる。
しかし、
「君にchannelを買ったよ」…?
え?channnelって何?
あ、もしかして…?
詐欺決定!当たり前の話だが普通の人はまだ会ったこともない人に、そんなものわざわざ買ってこないよ。
ここまでわかっていながらも、もしかしたら本物かもしれないという思いも捨てきれない。本当に来たら、今忙しいけど会社休まなくちゃとひそかに張り切っていた。このスリルが面白くて話をしているのだが、騙されてしまう人の理由が今ではなんとなくわかった気がする。人間誰しも人とつながりたい。友達ができるとうれしくなるし、つい信じたくなる。最初っからありえないと思いつつも、いい方に解釈したくなる。そしてバランスが崩れると、一気に心の中の警告を無視して突っ走ってしまうんだろうな。
とにもかくにも彼は中国にやってきた…。北京ー大連都市間をバスで移動するなんて、ハードな出張だ。しかもあっという間にホテルについて、16時にランチという回転寿司の写真を送ってきた。
そしてやっぱりきたきた~~~~www
「大変なことになった!インドネシアについてカバンをあけたら財布がないんだ。中国のホテルに戻らなくてはいけない。でもクレジットカードも現金もすべてその財布の中にあるんだ。中国に戻る旅費を貸してくれないか?」
「どうして飛行機に乗れたの?」
「飛行機までのタクシー代はどうしたの?」
「インドネシアのホテルまではどうやって行ったの?」
と次々に質問したら、こんなに困っているのになんていういい草だ!ってキレた。
詐欺とはわかっていたけど、ちょっとガッカリ…。
そのあとも「まあいい、君とはまだ友達だよ、日本に行けば会えるかい?」とまだ言ってくる。きっと次はお約束の「税関でCHANELが通過できないから、お金を送ってくれ」と言うパターンと思われる。それもききたかったが、相手をしている時間がなくなるほど忙しくなったので、打ち切ることにした。
彼のWhatsAppの画像は、現在どこかのセミナー会場のようだ。きっと新たな獲物を狙っているんだろうな。その相手に教えられないのがちょっとくやしい。