幸せは人それぞれ

ハプニングは多い方がおもしろい

詐欺といえばトルコ?(2)

あれこれトルコの詐欺を検索しているうちに、及川眠子さんの『破婚』に出会った。及川さんはエヴァンゲリオンの作詞家で、なんと18歳年下のトルコ人に三億以上ものお金を貢いだというぶっとんだ経歴の持ち主。あの一度聴いたら耳に残る名曲が生み出したお金はすべてトルコ人の豪遊に使われたという、今まで読んだ本の中で一番衝撃的かつ共感できた本だった。

ヒット作がでると億単位で収入があるということにもびっくりしたが、及川さんの度胸のよさ、潔さは称賛に価する。素晴らしい!人生なんて一度だけだし、自分だけのものだし、それくらい思いきらないと楽しくない。しかも転んでもただでは起きないポジティブ思考。さらっと書かれてはいるが、本当に、本当に大変だったはずだ。大金が目の前から消えていくのだから!しかし、そこから自力で這い上がってくるたくましさが心地よい。

確かに三億というとすごい被害だが、三高を狙って高収入の男性と結婚してそのお金で贅沢三昧な人生を送る奥様をもつ男性と及川さんは、さほど変わらない。及川さんの場合は「破婚」したわけだが、どちらも大切にしてもらって幸せを得られるのであれば、お金の使い道なんて他人にとやかく言われる筋合いではない。

…と考え、気が付いた。カッパドキアのホテルについて話しているとき、自称ツアーガイドの彼は一泊400ドルのホテルを勧めてきた。一泊400ドルって東京の五つ星ホテルに泊まれる金額だよ、そもそもガイドブックにそんなホテルないし、高すぎる!と返信したのだが、今にして思えば、自分のホテル代も私に払わせるつもりだったのかな。及川さん曰く、トルコ人の感覚ではお金は持っている人が払うのが当然とのこと。彼も騙してお金を取ろうというのではなく、私のお金を自分のために使おうとしているのだということだったのかと。そう考えると筋が通ってくる。彼はお金をだまし取ろうとしたのではなく、私に愛情を「提供」し、私のお金を副収入として利用したい、大好きな日本に自由に行き来したい、ついでに自分のありあまる性欲も満たしたいというおいしい「ビジネス」を計画していたのではないかと。

だからOKというわけではない。しかし相互扶助であれば、「お金持ちと結婚したい」というよく耳にするフレーズとなんら変わらないわけで、詐欺に遭ったとはいえないようにも思えた。何度も言うが、詐欺ではないから信頼できるわけではない。人によってはギブアンドテイクが成立する場合もあり得るというだけだ。

 

トルコは強引に物を売りつけるイメージが強く、ともすればそれ自体を詐欺としてしまいがちだが、他国の人に言わせるとそれが彼らの長い歴史の中での商法なのであって、はっきり断ればいいだけのこと。カモになっている日本人の方がおかしいと言う。くやしいが日本人はつい、いい人になろうとする。相手を傷つけないように気配りしてしまう。そこが狙われるんだよな。

しかし素敵な笑顔で甘く囁かれたら…私は拒絶できないかも(笑)

破婚: 18歳年下のトルコ人亭主と過ごした13年間