幸せは人それぞれ

ハプニングは多い方がおもしろい

母親の「彼氏」に対する子どもの反応

今の世の中、両親が離婚する家庭は珍しくない。そしていつの時代も母親はたくましい。失敗は失敗として割り切り、子どもたちを育てながら、さらには自分の未来の幸せをも勝ち取ろうとがんばる。

しかし、母親が再出発しようと新しいお父さん、あるいは「彼氏」を連れてきたとき、子どもたちは心から祝福し、受け入れているのだろうか。大きくなれば大丈夫じゃない?って簡単に言うけど、意外と簡単な話ではないような気がする。

Aさんには成人前の娘さんが二人いる。彼女たちが中学生のころ、Aさんは今の夫と付き合い始めた。外で会っている間は問題なかった。彼と娘さんたちもLINEでおしゃべりして一緒にアイスクリームを食べに行ったり、Aさんから見るととてもいい関係を築けているようにみえた。娘さんたちが受験にさしかかった頃、待ちきれなくなったAさんと彼は、母娘3人で暮らしていたマンションに一緒に住むことにした。表面上は仲良くしていた娘さんたちであったが、実はこのことにかなり傷ついた。とくに下の子は受験で気を遣ってほしい時期に、母が自分よりも彼氏を優先したことが相当ショックだったようで家で全くしゃべらなくなった。友達にはこれまでは3人で楽しかったのに…と話していたというのが切ない。それでも娘さん二人はお母さんを気遣い、不満は表に出さない。

Bさんの相手はご近所さんだった。Bさんにも彼にも二人のお子さんがいて幼いころからの顔見知り。お互いシングルとなり付き合い始めたようだが、思春期の子どもたちは親同士の関係を知ったとき、荒れに荒れた。現在は成人し、上の娘さんは結婚してお子さんも授かったものの、Bさんの彼を受け入れることはできず、いまだにBさんと衝突している。下の娘さんも社会人になっているが、相変わらずBさんとはまともに口を利かないそうだ。Bさんの場合、子どもたちに嘘をつきたくないという真摯な思いから話したのだと思うが、やはりもう少し大人になるまで伏せておくべきだったのかな。

もちろんこれは思春期以降の子どもの話。子どもたちが幼ければ、まだわからなくて逆に受け入れやすいかもしれない。が、もう大きくなったから理解できるだろうという考えは危険だ。大きくなったとはいえ、母親は母親。それがある日突然、他の人と恋愛している姿をみて、何より母親の中で自分の優先順位が別の男にとってかわってしまった気がして、子どもたちはショックを受ける。だからといって決して親は子どもをないがしろにしているわけではない。子どもの人生も含めて、より望ましい方向に進もうとしているのだが、なかなか塩梅が難しい。

すでに自立した後であっても親の第二の人生に複雑な思いをかかえる人は少なくない。Cさんは父親が亡くなり、さらに自分が結婚した後にできた母親の男友達にさえ複雑な気持ちだったという。そこまでいくとさすがに単なる親離れできない甘えのようにも思えるが、いくつになっても親は親だから気持ちはわからないでもない。一方、家族のとらえ方が違う欧米人は成人した子どもは親の新しい人生のために離れるべきだという人も多い。もちろん海外の人はみんなそう思っているとか、それが正しいとか、一概には言えず、人それぞれではある。家族の関係性をよく確認しながら、最善の道を進むしかないが、これまでがんばってがんばって、ようやく自分の幸せをつかみ直したのに、子どもたちへの罪悪感が消えないことは母親にとっても辛い。

 

では子どもが幼い場合は別として、思春期以降ではカミングアウトするのはいつがベストタイミングなのか。子どもと母親の関係性にもよると思うが、結局いつであっても、大なり小なり子どもはショックを受けるに違いない。しかし子どもはいつかは親から離れるもの。その時に自分の人生を自ら切り開いて進んいけるようになっていれば、最初は動揺したとしても、じきに自分と母親は別の人生を歩んでいることを理解してくれるのではないだろうか。そして今度は母親の将来を心配する状況になったとき、母親が信頼する相手と一緒にいることに、初めて安堵をするのではないかと。

結局、いくつになっても子どもへの心配は尽きないね。